怪談、体験談

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不思議な話 [小さい時見た夢] 怪談

20年ほど前、まだ僕が小学生低学年だった頃の夢だ。


自分の部屋で本を読んでいた。
ふと本から目を離して部屋を見渡すと、視界がやけに黄色がかって見える気がした。
照明が黄色灯だからなのかな?
そんなに気にせず、でも何か物寂しさを感じて、家族のいるリビングに向かった。


リビングでは母親と、2個上の姉が、仲良くミシンを使ってお裁縫をしていた。
姉の学校の家庭科か何かの授業の宿題らしい。

僕は暇なのでTVを付けようとしたけど、やめて、
なんとなく部屋を見渡した。やっぱり黄色い。


視界が黄色いのは自分の目のせいなのか、本当に世界が全部黄色がかっているのか、
だんだん不安になって、二人に話し掛けた。


僕「ねえねえ、今日、なんか黄色くない?」

母「えー?何意味わからないこと言ってるの?笑」
僕「なんか、見えるものが全部黄色い気がする。」
姉「寝ぼけてるの?笑」


二人とも、僕に目を合わさずに返事をした。ミシン作業に夢中のようだ。


母「そんなことより、もうそろそろ寝なさいね。もう8時だよ。」

リビングの時計は夜の8時を回っていた。確かに、そろそろ寝たほうが良い時間だ。


でも、黄色がかったこの景色が気になって、なんだか不安で眠れそうになかった。


僕「うーん。まだ眠くないよ。」
母「これ終わったらお姉ちゃんも寝るから、少し待ってなさい」
姉「アイツ混ぜて欲しいんじゃないのー?笑」


いつも通りの二人だ。
声も話し方も話す内容も、いつも通り。でも僕がリビングに来てから、一回も目を合わせようとしない。


リビングで周囲を見渡しても、庭を覗いてみても、台所に行っても、全部うっすら黄色掛かっている。もちろん二人も黄色掛かっている。

やっぱりこの黄色い違和感は、なんだか現実感が無くて不安で、僕は二人にまた話し掛けた。


僕「ねえねえ、絶対に今日、黄色いよやっぱり。」

母「まだ言ってるの?笑」
姉「もう先に寝てたら?笑」


僕「ねえねえ。もしかして、これって夢かな?」



ピタッ

と母と姉が裁縫の手を止めて、

二人で顔を見合わせてクスクス笑いながら、
そして僕の方を向くことはなく。


母姉「あ〜あ。バレちゃったかあ。」


と、呟いた。


ここで夢は終わっている。



いつも怖い夢を見たり、または人から聞いたりしても、目が冷めてから冷静に考えると
どこが怖いのか、支離滅裂でむしろ笑い話なことが多いけれど、

この夢は不思議な不気味さが目立ち、20年経った今でも鮮明に覚えている。